ラウンドアップによる発ガン訴訟の賠償判決について

グリホサート系除草剤で賠償判決が言い渡された事件。


http://www.afpbb.com/articles/-/3185756?cx_part=rank


判決の根拠は、IARCのランク付けによるものなのですが、IARCのランク付けの仕方は世界的に疑問視されています。


また、欧州の発ガンリスク評価機関EFSAでは、グリホサート系除草剤の発ガンリスクは低いと結論付けており、【グリホサートの潜在的な発がん性について分類することは、科学的根拠によって妥当性を裏付けられていない】とまで言いはなっています。


http://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu04370190149


なお、EFSAのこのリスク評価(ピアレビュー)は、IARCのリスク評価の所見を受けて行われたものであり、『IARCのリスク評価よりも後に、IARCのグリホサートに対する2A評価根拠として提示された資料に欠落する知見をもってEFSAにより再評価された』ものです。


果たして、これによってグリホサート系除草剤に対する発ガン訴訟は増えるのでしょうか?

この訴訟による賠償判決は、たまたま上手くいっただけのような気がしてなりません。


国際機関であるIARCのランク付けは、世界の研究機関や学会から疑問の声が挙がっていますし、事実、ドイツはIARCのグリホサートに対するランク付けに、『根拠が足りない』と不快感を示しています。


IARCが、グリホサートに対するリスク評価根拠の審議対象として精査した論文のリストの中に、いわく付きの結論先行で論文を書くことで有名なセラリーニ教授の論文(学会では撤回済み)を挙げたことも、グリホサートに対するリスク評価の正当性に疑問を感じざるを得ません。

そもそも、例え評価審議時点で不採用にしたとしても、学会でボツにされた論文を審議対象に加えることが既に大問題です。IARCには評価根拠を科学的に審議する力が足りないことを、IARC自身が証明しているようなものなのですから。