うーん???

「有機農業は環境にも経済的にも良い(研究結果)」

http://m.huffpost.com/jp/entry/7558678?ncid=fcbklnkjphpmg0000000



記事中盤、「3割程度価格が高くても有機栽培の野菜を選ぶ消費者が多い」とあるが、本当にそうだろうか?

これは個人的な疑問だが、高くても価値があるもののほうが良いというのは、新興国や先進国の一部の中級以上の富裕層に限られるのではないだろうか。

もちろん需要はあるし(先進国に限るが)、価格が高くても買う人はいる。


有機栽培の野菜が増加すれば、今は高い有機栽培の野菜の価格も下がるだろうと書かれている。確かにそう思う。


しかし、だ。


市場における有機栽培野菜が増加するかどうかは、あくまでも「今以上に売れれば」という前提があっての話。売れなければ生産量を増やしても需給のバランスが崩れてしまう。

有機栽培の野菜が売れるということは、一般的にいわれるそれらの野菜の見た目のデメリットが受け入れられるということである。現実はどうだろうか。


現実に売れている、という話ならまだわかる。が、「買いたいという潜在的需要があるから売れるだろう」では、説得力に欠ける。

なぜなら、潜在的な需要と、実際に販売して売れるかどうかというのは、必ずしもイコールではないからだ。


新商品の販売直前のアンケート結果では良い回答が殆どなのに、実際売り始めてからは思ったほど売り上げが伸びないというのはよく聞く話で、それはアンケートを取った対象群の選別に偏りがあったり、頭で考えたよりも身を持って経験すると損得勘定が逆転したりだとか、そういう予測の困難な要素が原因である。


一体、「買おうとする」のはどのレベルの所得者層なのか。そして、実際に買っているのは、そういう人たちの中の何割なのか。「買おうとしたけど買わなかった」という人もいるはずだが、こういう人たちも「買おうとした」から統計に含まれているのだろうか。


「損益分岐点は高いし、収量も低い」という事実を、「三割高くても買おうとする人がいるから大丈夫」という予測で補うのは、ちょっと説得力に欠ける気がする。たとえ商品単価が高くても、損益分岐点を超えるほどの売上が無ければ意味がない。

まぁ、売り方やマーケティングは本論分の語るところではないし、農業者がやるべきことなのだが、、


あくまでも日本に限ってみればの話だが、「有機無農薬で、虫食いがなくて、出来るだけきれいな野菜を、可能な限り安く買いたい」という、矛盾していることを簡単に口にする消費者が殆どだ。

このことからも、単純に有機だから高くても売れるだろうという予測は短絡的であることが分かる。


残念ながら、農家がどれだけ苦労しているかなんて考える余地は、多くの一般の人の中には微塵も無いのだと感じることが多い。

そして、そういうのを気にする人に限って、全くと言っていいほど、農業の裏を知らない。

普段どれだけ見た目の悪い農産物が捨てられているのか、感覚として理解している人は、恐らく農家以外いないだろう。


一般的には、せいぜいスーパーのバックヤードで廃棄を見て、「結構無駄になってるなぁ」程度の感覚でしかない。


気にしているのは、GMO、モンサント、農薬、ミツバチといった、マスコミでも話題となりやすいインパクトのあるワードだけ。

それだけで、農業を語った気になっている。

知識の薄さに、正直、呆れる。


「自然な害虫駆除を促進し」という一文にも、非常に違和感を覚える。

害虫「駆除」は、どうやっても自然には起こり得ないのだ。あくまでも、弱肉強食に乗っ取り、益虫と呼ばれる虫が、自身が生きていくのに必要な量だけを食べるにすぎない。それは、生きていくために必要な範囲を越えることはないし、超えなければ「駆除」とは言えない。


農業というのは、特定の作物のみが生育する「自然界では考えられないような植生の場所を強制的に作る」という、悪い言い方をすれば環境破壊によって成り立つ職業である。


害虫は、増える一方で、決して益虫による捕食限界数を下回ることはない。なぜなら、害虫は農場に定着するが、益虫は定着しないからだ。益虫は、自身の食欲が満足すれば、多くがほかの場所に飛散してしまう。この問題は、既に生物農薬で表面化しており、研究者も頭を悩ませている。そして、その結果として、遺伝子操作で飛翔能力を無くしたテントウムシなどが生まれているが、そのような事実に目を向けている人が、果たして有機無農薬信者の中にいるのだろうか。


又、増えた害虫は周りの作物にも派生して増殖を繰り返す。そして、周囲の生態系バランスの破壊を促進する一助となる。


記事後半。長期的な環境への影響について、有機栽培は多くの研究によって、環境にいい影響があると示されているともかかれているが、結論付けが甘い。

問題は、有機栽培のデメリットまで含めて考察していないということだ。

有機栽培のデメリットは、収穫量や、作物品質、価格、農業機械の運用コスト面だけでなく、環境に対する悪影響にまで話が広がる。

どちらかといえば、有機栽培に批判的な立場の論理の方が科学的にしっかり裏付けもとれているし、多くの公的機関もそれに準ずる形の公式見解を発表している。

有機栽培の方が環境に優しいかという点については、反対する意見も強く、どちらともいえないのが事実だ。


もちろん、ニッチな需要に対して、中小規模の有機農家は増加しているし、公的機関も「中小規模の」有機農家が地球環境に良い影響を及ぼすとして支持している。が、あくまでも「中小規模の」であって、大規模農業が主体の海外で有機栽培が増え続けるか、という点には、疑問があるし、いずれ限界を向かえると思う。

そう考えると、中小規模栽培が主体の日本は有機栽培に向くのではないかとも思えるが、これまた、売れる基礎が出来なければ話にならず、まだまだ市場が未熟なのが現実だ。



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コメント: 2
  • #1

    Odelia Wygant (火曜日, 24 1月 2017 16:59)


    Its like you read my mind! You seem to know a lot about this, like you wrote the book in it or something. I think that you could do with a few pics to drive the message home a little bit, but instead of that, this is magnificent blog. A great read. I'll definitely be back.

  • #2

    Bart Hollins (火曜日, 31 1月 2017 19:34)


    Highly energetic post, I loved that bit. Will there be a part 2?